Newsletter of FCG Group.
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Friday July 25th, 2025Southeast Asia, etc.
フェアコンサルティンググループは、世界20カ国/地域・36のグローバル拠点を、提携ではなくフェアコンサルティングの直営拠点として展開しています。そのうち、東南アジア・インド・オセアニア各国の情報を本ニュースレターにてお届けします。現地の情報収集目的などにご活用ください。
今月の掲載国は、以下のとおりです。
インド、インドネシア、オーストラリア、シンガポール、タイ、ニュージーランド、フィリピン、ベトナム、マレーシア
インド
インドのMSME<零細、中小企業>(Micro Small & Medium Enterprises)について
今回はインドのMSMEのシステムについてご紹介いたします。
MSMEは、インド経済において極めて活気があるダイナミックなセクターとして台頭しており、インドのGDPの約30%、輸出の45%以上を占めています。本セクターは、起業家精神を育成し、比較的少ない資本コストで大規模な雇用機会を創出することにより、農業に次ぐ形で国の経済および社会開発に大きく貢献しています。またMSMEは大規模産業の補完的な部門として下請け企業としても機能しており、国の包摂的な産業発展にも大きく寄与しています。そのため零細・中小企業省は既存の企業への支援、先端技術の導入、新たな企業創出の促進に取り組んでいます。
【MSMEの登録メリット】
零細・中小企業省による優遇措置を活用するためには、MSMEとしての登録を行わなければなりません。以下が登録による具体的なメリットです。
●無担保融資:MSMEは信用保証基金スキームの下で担保不要の融資を受けることが可能
●低金利融資:政府支援のMSME向け融資スキームにより低金利で資金調達が可能
●政府調達での優遇:公共調達において優先的な扱いを受け一部の入札要件が免除される
●支払遅延に対する保護:MSMED法により買い手からの遅延支払いに法的保護が与えられ、遅延には利息が課される
●知的財産権に対する補助金:特許や商標登録に関する費用に対する財政支援により、イノベーションを促進
●税務・コンプライアンス優遇:所得税法や特定のGST規定における免除・緩和措置が受けられる
●設立コストの削減:ISO認証、品質試験、技術改善などに対する補助金が利用可能
●マーケティングおよび輸出支援:国際見本市への参加、市場開拓支援、世界的な展示会への出展支援などが受けられる
●登録およびオンライン手続きの簡便化:「Udyam登録」により、最小限の書類で自己申告ベースの登録が可能
【MSMEの分類】
すべての製造業、サービス業、卸売業、小売業において、年間売上高および投資額に関するMSME分類基準を満たす事業者はMSME登録の申請が可能です。
【MSME – コンプライアンス枠組み】
製品やサービスを零細・小企業(MSE)から調達している企業は、未払い金を報告するため会社登記局(RoC)に報告書を提出する必要があります。この報告書は「零細・中小企業開発法(MSME開発法)2006年」に基づき、MSMEへの透明性と迅速な支払いを確保することを目的としています。特に商品の受領またはサービス提供から45日を超える遅延支払いを追跡するためのものです。
また、MSME登録企業は以下の報告書を提出する必要があります。
●Form MSME-1を半年ごとに、企業省(MCA)V3ポータルを通じて電子的に提出
●提出期限は、各半期終了後30日以内
インドネシア
1.経済法令
インドネシア、輸入規制制度を全面改正-分野別の新貿易大臣規則を施行
2025年6月30日付けで、インドネシア政府は貿易大臣規則(Permendag)第8号2024年及び同第36号2023年を正式に廃止し、これに代わる新たな輸入規制制度として「第一段階規制緩和パッケージ」に基づく9本の分野別Permendagを制定した。本制度改正は、輸入許可手続の簡素化、法的明確性の向上、および貿易行政の迅速性を目的とするものである。
新たに施行されるPermendagは以下の通りである:
●Permendag第16号2025年:一般的な輸入政策および管理に関する規定
●Permendag第17号2025年:繊維及び繊維製品の輸入に関する規定
●Permendag第18号2025年:農業・畜産品の輸入に関する規定
●Permendag第19号2025年:塩及び水産物の輸入に関する規定
●Permendag第20号2025年:化学物質・有害物質・鉱物資源の輸入に関する規定
●Permendag第21号2025年:電子機器及びテレマティクス製品の輸入に関する規定
●Permendag第22号2025年:特定の工業製品の輸入に関する規定
●Permendag第23号2025年:消費財の輸入に関する規定
●Permendag第24号2025年:中古品及び非B3廃棄物の輸入に関する規定(※B3は「有害・有毒廃棄物」の意)
新制度においては、輸入品目を農業、鉱業、電子機器等の分野ごとに分類し、それぞれに異なる許可要件を適用する「分野別クラスター方式」が導入された。これにより、将来的な制度改正において、各分野ごとに迅速かつ段階的な対応が可能となるほか、クラスター単位で割り当てられたHSコードの見直し・追加・削除も容易になる構造が整備された。
従前は、すべての品目に対して一律的に「事業者基本番号(NIB)」、「調和コード適合証明(LS)」、「技術的承認(Pertek)」が求められていたが、新制度では、品目ごとに必要書類や検査要件が区分されている。これにより、輸入者は各品目に応じた要件を事前に正確に把握しやすくなり、とりわけPertekもクラスター単位で最適化されたことで、通関手続における予測可能性と事務効率の大幅な向上が期待される。また、本制度変更に伴い、貿易関連業務を行う関係省庁および民間事業者に対しては、業務システムや内部手続の移行が求められる。新たなPermendagは、官報公布日から60日後に施行される予定であり、これに先立ち、通関業者および輸入企業は、SOPならびにHSコード管理体系等の速やかな更新を行う必要がある。
本改正は、インドネシア貿易制度における法制度の明確化と経済柔軟性の両立を実現するための構造的転換点と位置付けられる。
2.経済・社会ニュース
【インドネシア中銀、政策金利を5.25%へ引下げ:景気下支えと安定維持を狙う措置】
インドネシア中央銀行(BI)は、2025年7月の理事会において政策金利(BI Rate)を25ベーシスポイント引き下げ、5.25%とする決定を下した。直近2か月間は5.50%で据え置かれていたが、インフレ圧力の低下、通貨ルピアの安定、ならびに国内経済の下支えが必要であるとの判断に基づくものである。ペリー・ワルジヨ総裁は、アメリカによる追加関税政策など、世界経済の不確実性が高まるなかでの成長維持の重要性を強調した。インドネシア中央銀行は、2025年後半の経済成長率が回復基調に転じ、年末には最大5.4%に達する可能性があると見込んでいる。また、同国の外貨準備高は1,526億米ドルに達し、輸入および政府債務返済の6か月超を賄える水準を維持しており、経常赤字もGDP比0.5~1.3%にとどまる見通しである。インフレ率は2025年6月時点で前年比1.87%となっており、コアインフレや食品・公共料金の価格も抑制されている。これを背景に、同中銀は為替市場への介入や国債の二次市場買入れ、金利操作の効率性向上、日中とのクロスボーダーQRコード決済の展開、中央銀行間の協力強化などを含む包括的な政策パッケージを併せて実施する方針を示している。
【インドネシア:電子商取引事業者への源泉徴収義務導入(PMK-37/2025)】
2025年7月14日、インドネシア財務省は「財務大臣規則第37号(PMK-37/2025)」を公布し、電子商取引事業者(マーケットプレイス等)を源泉徴収義務者として指定する制度を導入した。本規則により、プラットフォーム運営者は、国内販売業者が得る所得に対し、売上総額の0.5%を上限とする所得税(PPh第22条)を徴収・納付・報告する責務を負う。徴収対象は、年間売上高が500百万ルピア(約470万円)を超える事業者であり、小規模事業者、特定業種(通信、金製品、不動産等)、および免税証明書を提出した者は除外される。制度は、財務大臣による指定から1か月後に施行され、違反時には税務法および電子取引関連法に基づく制裁が科される。
【フランチャイズ登録証明手続の簡素化と法的確実性の強化】
インドネシア貿易省は「2025年貿易大臣規則第25号」を公布し、地方政府によるフランチャイズ登録証明書(STPW)の発行手続を簡素化することを定めたものである。本規則は、全国統合電子許認可システム(OSS)を通じた申請及び明確な審査手順を地方政府に義務付け、さらに五営業日以内の発行を厳格に規定し、期限内に発行されない場合には申請受領証を暫定的な事業根拠として利用可能とすることを認めている。これは、インドネシア各地における2000を超える登録済フランチャイズブランドの展開を阻害してきた恒常的な官僚的遅延を是正する措置であり、リスク基準型許認可制度の下で事業環境の改善指標を引き上げ、法的確実性と予見可能な手続きを事業者に提供することを意図するものである。しかしながら、主要な手続上の障壁を除去し要件を明確にする一方で、その実効性は地方政府による一貫した履行と運用に依存するため、これらの改革が現場レベルで持続的な事業上の優位性に結実するか否かを評価するための継続的な監視が不可欠となっていると考えられる。
オーストラリア
2025-26年度最低賃金の変更
2025年7月1日よりオーストラリアにおける最低賃金が変更となっておりますので、以下紹介いたします。
オーストラリアにおける労使裁定機関であるフェアワーク委員会(Fair Work Commission)により決定された2025-26年度の最低賃金(National Minimum Wage)は以下の通りです。
(注)円換算額は2025年6月30日レート(94.26円/AUD)で計算
●業界や職種別に規定される労使裁定であるアワード(Award)ごとの最低賃金も5%の上昇となっている。
●2025年7月1日以降に開始する最初の給与期間(First full pay period)より変更後の最低賃金が適用される。
●最低賃金で就労する労働者は約260万人と言われており、最低賃金で就労するフルタイム従業員の場合、年間で約AUD1,670.00(約157,410円)の賃金増加となる。
●インフレ率がオーストラリア準備銀行(RBA: Reserve Bank of Australia)の目標(2~3%)の範囲内である4%に収まり、2022年後半のピークである7.8%から低下。インフレ率を上回る最低賃金の上昇率とすることで、近年指摘されていた実質賃金の低下を是正するもの。
●上記の他、2025年7月1日以降、有給育児休暇(Parental Leave Pay)の取得可能日数が22週間(110日間)から24週間(120日間)に拡大される。2026年7月1日以降は26週間(130日間)に拡大予定となっている。
※当ニュースレターの内容に関してアドバイスなど必要でしたら、お気軽にお問い合わせください。
シンガポール
シンガポールのQuota(クオータ)制度について
Quota(クオータ)は、シンガポール国民の職を守るために規定される外国人従業員の採用可能枠であり、業種(Sector)やローカル従業員数(シンガポール人及び永住権保有者)に応じて、企業ごとに外国人を何人まで雇用出来るか異なります。具体的には、以下のような計算により算出します。
Step1:雇用可能な外国人従業員の最大数を求める。
【状況】 |
【追加で雇用可能な外国人従業員数の計算】
A氏の工場は製造業にあたるので、Quotaは60%となり、雇用可能な外国人従業員の最大数は「LQSカウント×1.5」で計算します。
A氏の雇用可能な外国人従業員の最大数:25LQSカウント×1.5=37名
既に雇用している8名の外国人従業員を考慮すると、A氏が追加で雇用可能な外国人従業員数は、29名(=37-8)となります。
Step2:総労働力を計算する。
【状況】 25名のローカル従業員(25LQSカウント)と8名のWork Permit保有者に加え、A氏はマレーシアから追加のWork Permit保有者の承認を取得しました。A氏は新たに6名の仮承認(IPA)取得済のマレーシア人について就労許可証の発給手続きを完了させる予定です。 |
【総労働力の計算】
(総労働力)=(25LQSカウント)+(8Work Permit保有者)=33
※6名のWork Permit仮承認保有者は総労働力に含まない。
Step3:雇用可能なS Pass保有者の人数を計算する。
【状況】 A氏は、業務を管理するためS Passによる監督者の雇用を検討しています。A氏は何名のS Pass保有者を雇用する事が可能でしょうか。 |
【雇用可能なS Pass保有者の人数の計算】
a) 6名のIPA取得者に係るWork Permit発行前
(総労働力)=(25LQSカウント)+(8Work Permit保有者)=33
製造業のS Pass Quotaは15%であることから、S Pass保有者の雇用可能者数は以下のとおり計算します。
S Pass Quota=15%×(総労働力〔33〕+1)=5名
b) 6名のIPA取得者に係るWork Permit発行後
(総労働力)=(25LQSカウント)+(8+6Work Permit保有者)=39
上記aと同様に、S Pass保有者の雇用可能者数は以下のとおり計算します。
S Pass Quota=15%×(総労働力〔39〕+1)=6名
タイ
【2026年1月より外国人従業員の給与・職歴に関する新要件施行】
BOI(タイ投資委員会)は、2025年6月5日付の通達 Por 8/2568において、外国人従業員の給与・学歴・職歴に関する新要件を発表しました。
この新ルールは、当通達の発行(2025年6月5日)以降にBOI認可を受けた企業は2025円10月1日から適用、それ以外は2026年1月以降に適用され、BOIビザ・労働許可証の新規申請および更新手続きに影響を与えます。
すでにBOI認可を受けている企業であっても、2026年以降の更新手続き時点で新要件を満たしていない場合、労働許可やビザの延長ができない可能性があります。
タイ居住・非居住にかかわらずBOI就労許可を取得しているすべての外国人が対象となりますが、就労許可を取得していない取締役(例:Nominee Directorなど)は対象外となります。
ポジション別の給与・職歴要件(2026年1月施行)
当該新ルールの下では、BOI就労許可を新規に申請する場合、その審査は雇用契約書に記載された給与や職歴を基に行われます。契約時点で、規定の学歴・実務経験・給与要件を満たしていない場合は、そもそも許可が下りないリスクがありますので、事前の条件確認が非常に重要になります。
一方で、既にBOI就労許可を取得している外国人が更新申請を行う場合には、給与実績の証明が必要となります。勤務期間が1年以上ある場合は、PND1K(年間個人所得源泉税まとめ表)が審査資料となり、勤務開始から1年未満のケースでは、直近3か月分のPND1(月次個人所得源泉税申告書)の記載内容に基づいて審査されます。
また、以前のビザ・就労許可証をキャンセルした後に、1年以内に同じ職種で再申請を行うような場合も、上記のPND1またはPND1Kに基づいて再度審査される点には注意が必要です。
短期(6か月以内)の就労については、今回の給与・職歴要件の適用対象外とされていますが、長期雇用を前提とする多くのポジションでは、この規定に該当しません。
なお、従業員数が100名を超える製造業の企業については、全従業員のうち少なくとも70%をタイ人が占める必要があるとされており、これを満たしていない企業は外国人就労許可の承認に影響が出る可能性があります。一方、製造業・サービス業のうち従業員が100名未満の企業には、この雇用比率のルールは適用されません。
申請はすべてBOIの「Single Window」システム上で行われるため、2026年以降はPND1KやPND1など、給与情報を含む資料のアップロードが必須となります。その結果、ログイン権限を持つ担当者が全社員の給与データを閲覧可能となる点にも注意が必要です。
情報管理やアクセス制限の観点からも、ログインIDやパスワードの管理体制を見直すことが推奨されます。
今後の対応について
本規定は、BOI認可を受けている企業にとって外国人雇用時の給与・職歴基準がより明確化される一方で、条件を満たさない場合は更新不可となるリスクがあるため、今後の人材採用・報酬設計、既存社員のキャリア設計に影響を与える可能性がございます。
現在雇用中の外国人従業員が要件を満たしているかどうか、2025年内に事前確認されることを推奨いたします。
BOI通達 Por 8/2568
https://www.boi.go.th/upload/content/por8_2568_684920697e7db.pdf
【2025年10月より、従業員福祉基金(Employee Welfare Fund)制度が正式導入へ】
1998年に労働保護法に盛り込まれて以来、長らく導入が見送られてきた従業員福祉基金(Employee Welfare Fund、以下 “EWF”)制度ですが、2024年11月の閣議決定を経て、2025年10月1日より施行されることが正式に発表されました。
この制度は、従業員の退職、死亡、傷病等に備えた積立制度で、企業と従業員の双方が一定割合を拠出する仕組みとなっています。構造としては確定拠出年金制度(Provident Fund)に近いものといえます。
今回の施行により、常時10名以上の従業員を雇用している企業に対して、EWFへの加入が義務付けられることとなりました。すでにProvident Fund制度を導入・運用している企業については、EWF加入の義務は免除されます。ただし、Provident Fundが全従業員を対象としていない場合などは、一部の従業員につきEWFへの加入が必要となるため留意が必要となります。
なお、EWFの拠出率については、導入から最初の5年間(2025年10月〜2030年9月)は、企業・従業員それぞれが月給の0.25%を拠出し、その後は0.5%へ引き上げられる予定となります。
拠出金は、給与支給月の翌月15日までに納付する必要があり、遅延があった場合には年5%の延滞加算金などのペナルティが科される仕組みとなっています。
実務上の留意点
EWFへの対応が必要な企業においては、以下のような準備が求められます:
●Provident Fundへの加入検討
●現行Provident Fund制度の適格性確認
●社内規定や労使協定への反映
●従業員への制度説明および同意取得フローの整備
●EFWへの届け出及び月次申告納付フローの整備
●給与からの控除処理や会計上の取扱いの検討
本制度は、政府主導での福利厚生制度整備の一環として注目されており、今後の税制や社会保険制度との連携にも影響を及ぼす可能性があります。
タイ王室官報(2024年11月15日付)
https://ratchakitcha.soc.go.th/documents/51627.pdf
ニュージーランド
海外直接投資の加速へ - 「Invest New Zealand」について
「Invest New Zealand」とは?
2025年7月、ニュージーランド政府は新たな海外直接投資(FDI)促進機関として「Invest New Zealand(インベスト・ニュージーランド)」を正式に発足させました。本機関は、これまでNew Zealand Trade and Enterprise(NZTE)内で行われていた投資誘致機能を再編・拡充する形で独立設置され、戦略的に海外からの投資を誘導・支援する役割を担います。
世界各国が高度人材、先端技術、資本の獲得を競う中、ニュージーランドも国家戦略として「投資先としての魅力」を打ち出し、成長分野への資本流入を加速させる方針です。
設立の背景と目的
近年、ニュージーランドでは生産性の伸び悩みや労働市場の制約、輸出依存構造の偏りが課題とされてきました。そこで政府は以下の3つの重点分野における外資誘致を目標に掲げています:
「Invest New Zealand」は、これら分野の有望企業や機関投資家に対して、税制優遇、許認可支援、ビジネスマッチングなどのワンストップ対応を行う体制を構築します。
主な機能とサービス内容
1.グローバル投資家向け窓口機能
現地政府、規制当局、業界団体と連携し、迅速な意思決定・立地支援を実現。
2.重点プロジェクトへの優先支援
特定の戦略産業プロジェクトに対しては、インフラ整備・人材確保・税務面のアレンジも含めた包括的支援が提供されます。
3.投資後支援
進出後の拡張・運営支援を継続的に提供。規制変更や税務対応にも対応可能。
4.地方経済への投資誘導
オークランドやウェリントンに偏らず、地域経済圏(例:南島の再エネプロジェクトなど)にも資本を流す方針です。
期待される効果とビジネス機会
「Invest New Zealand」の設立は、以下のような効果をもたらすと期待されています:
1.外国直接投資の総額拡大と多様化
特にアジア、欧州、北米からのグリーン分野投資が見込まれます。
2.雇用創出
新規投資がローカル雇用を押し上げる構造へ。
3.ニュージーランド企業との協業機会の増加
外資系企業が現地パートナーやスタートアップと連携する動きも加速。
「Invest New Zealand」は、ニュージーランドが今後も持続可能で国際競争力のある経済を構築していくうえで、極めて重要な戦略機関といえます。日系企業にとっても、ニュージーランドにおける投資機会を検討する好機といえます。
フィリピン
1.SEC、企業データの取得手数料を50%引き下げ
2025年7月1日より、SEC(フィリピン証券取引委員会)は、企業書類の請求にかかる手数料を50%引き下げることを、2025年版の覚書通達第6号(Memorandum Circular No.6, Series of 2025)にて発表した。これは、企業データへのアクセスをより容易にし、企業や一般市民への負担を軽減することを目的としている。
主な変更点は以下の通り。
➣ 定款、会社規則、関連書類の認証済みコピー
●従来の2,000ペソから1,000ペソへ減額。
➣ 同書類の通常コピー
●従来の1,500ペソから750ペソへ減額。
➣ その他の書類の認証済みコピー
●認証済みコピーは50ペソ、通常コピーは25ペソ。
➣ eSEARCHシステムによるデジタルコピー
●認証済みコピーは625ペソ、通常コピーは375ペソ。
一方で、アプリケーション間で企業データを直接やり取りできるSEC API Marketplaceの料金は変更されておらず、以下の通り。
➣ 100回分/API連携件数
●10,000ペソ
➣ 1,000回分/API連携件数
●50,000ペソ
※API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)は、他のソフトウェアとの情報連携を可能にする仕組み。
2.外国人雇用に関する省令第248号(2025年版)の一部条項を明確化する補足指針の発行
フィリピン労働雇用省(DOLE)は2025年6月5日に省令第248号Aを発行した。同年2月に施行した省令第248号では外国人雇用制度の透明性と効率性を高め、フィリピン人労働者の優先雇用と技術向上を促進することを目的としてルールが改正されており、今回同省令の一部内容が明確化・補足されている。
具体的には以下の通り。
➣ 求人広告の掲載方法:AEP(外国人雇用許可証)申請前に、求人情報は一般紙に掲載する必要があるが、Philippine Job Network(フィリピン労働省が運営する公式求人・労働市場情報ポータル)やPublic Employment Service Office(公共雇用サービスオフィス)/Job Placement Office(地域の雇用支援窓口)への掲載は「推奨されるものの義務ではない」とされている。
➣ AEPの更新申請:更新時には、求人広告や研修要件の履行について、申請後60日以内に実施する旨を誓約する「Affidavit of Undertaking(誓約書)」を提出することで申請が認められる。
➣ 研修制度の義務化:特定業種の雇用主は、フィリピン人労働者への知識移転を目的とした「アンダースタディ研修」または「技能開発プログラム(SDP)」を提出する必要がある。これらはフィリピン労働雇用省(DOLE)の技術作業部会(TWG)によって評価される。
➣ 経済的必要性テスト(ENT):外国人雇用の必要性を判断するため、地域の労働市場状況や産業ニーズに基づいた評価が行われる場合がある。
➣ 免除および順守手続き:AEP免除対象者やその申請手続きについても明確に定義されており、国家の労働力政策との整合性を図る内容となっている。
3.6月中に発表されている会計・税務等に関する主な内容
ベトナム
実質的支配者の開示義務について
1.はじめに
2025年7月1日から施行された改正ベトナム企業法76/2025/QH15(以下、「改正企業法」)および政令168/2025/ND‑CP(以下、「政令」)において、実質的支配者(BO:Beneficial Owner)の開示義務に関する詳細が規定されました。今回は、この実質的支配者に関する制度について概要を解説します。
2.実質的支配者の定義および基準
改正企業法において、「法人企業の実質的支配者とは、定款資本の実際の所有権を有する個人、または当該企業を支配する権利を有する個人をいう。」と定義されています。さらに、政令において、法人企業の実質的支配者についての詳細が規定されています。実質的支配者は、以下のいずれかの基準を満たす個人をいいます。
a) 直接または間接的に、企業の定款資本の25%以上または議決権総数の25%以上を所有している個人
(所有基準)
※間接的に所有する個人とは、他の組織を通じて企業の定款資本の25%以上または議決権総数の25%以上を所有する個人をいいます。
b) 次の事項のうち少なくとも1つを承認する権利を有する個人(支配基準)
✓ 取締役会の過半数または全員、取締役会長、会長、企業の法定代表者、取締役または総取締役の任命または解任
✓ 企業定款の修正および補足
✓ 会社の管理構造の変更
✓ 会社の再編および解散
3.対象範囲および義務
適用対象範囲は、ベトナムで設立された法人格を持つ企業(一人有限会社、二人以上有限会社、株式会社、合名会社)です。これらの企業は、企業の実質的支配者に関する情報を収集、更新および保管し、要請に応じて企業の実質的支配者を特定するための情報を管轄政府機関に提供することとされています。収集、更新および保管する内容として、次の項目が規定されています。
✓ 氏名
✓ 生年月日
✓ 国籍
✓ 民族
✓ 性別
✓ 連絡先住所
✓ 所有比率または支配権の有無
✓ 本人確認書類に関する情報
また、企業の実質的支配者に関する情報は、法律の規定に従って、企業の解散または破産の日から少なくとも5年間保管することが義務付けられています。
4.適用開始日
2025年7月1日
5.ベトナム企業への影響
✓ 2025年7月1日以降に設立する企業
設立申請時に企業の実質的支配者に関する情報を作成し、提出する必要がある。
✓ 2025年7月1日前に設立された企業
企業登録内容の変更登記手続きを行う際に、企業の実質的支配者に関する情報、企業の実質的支配者を識別するための情報の追加も同時に行う必要がある。
6.おわりに
本稿では、ベトナムにおける実質的支配者の改正の概要について解説しました。今後、ベトナムで新規に法人設立を行う場合、または既にベトナム法人を設立されている場合には、実質的支配者リストの提出が義務付けられることとなります。ベトナム子会社を保有する日本企業にとっては、出資関係図の作成や更新など、事務負担増加が想定されます。懸念事項については、専門家へご確認いただくことをお勧めいたします。
マレーシア
外国人労働者のEPF(従業員積立基金)への拠出について
このたび、マレーシア政府より、非マレーシア市民従業員に対するEPF(従業員積立基金)拠出が2025年10月より義務化されることが正式に発表されました。
以下の通り、制度の概要をお知らせいたします。
■ 制度の概要
【施行開始】
2025年10月支給分の給与から適用
初回拠出期限:2025年11月15日まで
【対象者】
マレーシアで雇用されており、下記のビザを保持する75歳未満の非マレーシア市民
●Employment Pass
●Professional Visit Pass
●Residence Pass など
※ただし、外国人家事労働者(メイド・運転手など)は対象外
■ 拠出内容
■ 登録・手続き
新規加入者はKWSPフォーム3を使用して登録が必要となります。
既にEPF会員番号を持つ従業員は、そのまま利用可能です。
具体的な登録方法(オンラインか、窓口か等)は発表されていませんので、KWSPからの追加のアナウンスにご留意ください。
【本ニュースレターおよび、弊社サービス全般に関するお問い合わせ先】
株式会社フェアコンサルティング https://www.faircongrp.com/
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【2025年度版】フェアコンサルティングのご紹介【日本発の会計事務所系グローバルコンサル】
【今、東南アジアで起きていること】生活費の上昇と外国人採用規制について
【今、オセアニア地域で起きていること】現地の物価は?人件費は?
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