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2026年03月13日インドネシア
インドネシアにおける2026年法人税申告シーズン
―Coretax時代における10の重要ポイント―
3月末が近づくと、インドネシアでは個人所得税の年次申告書(IITR)の提出が完了する時期を迎える。これが終わると、税務実務の焦点はすぐに法人所得税の年次申告(CITR)へと移る。 4月から始まるこの期間は、多くの企業にとって一年のなかで最も負担の大きい税務対応の時期である。 特に2026年の申告シーズンは、インドネシアの税務行政において重要な転換点となる。税務総局(DGT)が新たな税務システムであるCoretax Administration System(CTAS)を本格稼働させるとともに、グローバル・ミニマム課税(Pillar Two)といった国際的税制の導入が進められているためである。この新たな環境のもとでは、企業は単に財務データを準備するだけでは十分ではない。システムへのアクセス設定、税務資料の準備、さらに各税目間の整合性の確認など、より幅広い対応が求められる。 以下では、2026年の法人税申告にあたり、企業が特に留意すべき10のポイントを整理する
1. Coretaxシステムへの完全移行
インドネシア税務総局は、従来のDJP Onlineに代わる新たな税務行政プラットフォームとしてCoretax Administration System(CTAS)を導入した。法人税申告を含む主要な税務手続きは、今後すべてCoretaxを通じて行われる。 従来の認証方式であったEFINは廃止され、現在は国民識別番号(NIK)との連携および16桁のNPWPを基礎とするアクセス管理へと移行している。そのため、企業はCoretax上で法人アカウントを有効化し、税務手続を管理する責任者(PIC)を登録しておく必要がある。アカウントの有効化が完了していない場合、申告手続き自体にアクセスできない可能性がある。
2. 法人税申告期限の延長制度の活用
2025年度分の法人所得税申告書の提出期限は2026年4月30日である。ただし、Coretaxの導入により税務当局によるリアルタイム監視や自動コンプライアンスチェックが強化されており、期限遅延に対する対応は従来より厳格になると考えられる。 監査手続きや財務諸表の確定が期限までに間に合わない場合、企業は期限前に延長届出(Form 1771-Y)をCoretax上で提出することができるこの手続きを行うことで、申告期限は2026年6月30日まで延長され、同時に100万ルピアの行政罰金の適用を回避することができる。
3. グローバル・ミニマム課税(Pillar Two)への対応
インドネシアは2026年1月1日より、グローバル・ミニマム課税制度の一部としてUndertaxed Profits Rule(UTPR)が導入されている。 連結売上高が7億5,000万ユーロ以上の多国籍企業グループに属する企業は、インドネシアにおける実効税率(ETR)が15%以上であるかを確認する必要がある。税制優遇措置や投資インセンティブの影響により実効税率が15%を下回る場合、追加課税(トップアップ税)が発生する可能性があるため、早い段階で税額のシミュレーションを行うことが重要となる.
4. 現物給与(BIK)と給与税申告の整合性
PMK No.66/2023およびPMK No.168/2023の施行により、現物給与(Benefits-in-Kind:BIK)の税務取扱いは大きく変更された。 現在の制度では、企業がBIKを損金算入するためには、その利益が従業員側で課税所得として認識され、給与税(PPh21)申告において報告されていることが前提となる。そのため企業は、給与台帳と法人税申告における費用計上の内容が一致しているかを年末時点で確認しておく必要がある。
5. Coretaxによる税目データの自動照合
Coretaxシステムでは、複数の税目にまたがるデータを自動的に照合する検証機能が導入されている。具体的には、法人税申告における売上高は、付加価値税申告(VAT)および源泉徴収税データと自動的に比較される。これらの数値に大きな差異がある場合、税務総局から説明を求める通知書(SP2DK)が発行される可能性がある。そのため企業は、法人税申告を行う前に12か月分のVAT申告データと財務諸表上の売上高が一致しているかを確認しておくことが重要である。
6. 移転価格文書作成のタイミング
移転価格文書は、引き続き税務調査における重点項目である。インドネシアの規則では、Master FileおよびLocal Fileは法人税申告の期限までに作成されている必要がある。 法人税申告書では、これら文書の有無を申告する必要があるが、税務当局が申告後に作成された文書であると判断した場合、移転価格文書は税務調査において考慮されない可能性がある。さらに、Coretaxシステム導入に伴う税務行政の移行期間中は、税務当局に対して税務調査期間の延長が認められている。そのため、関連者間取引がある企業においては、移転価格文書を期限までに準備し、内容を十分に整備しておくことが、これまで以上に重要なになる。
7. 税務上の減価償却の適正な計算
インドネシア税法では、有形固定資産の減価償却について4年・8年・16年;20年の4つの耐用年数区分が定められている。 これらの税務上の耐用年数は、会計基準に基づく減価償却とは異なる場合が多いため、企業は税務目的の固定資産台帳(Fiscal Fixed Asset Register)を別途管理する必要がある。資産分類や償却計算に誤がある場合、税務調査で追加課税が発生する主な原因となる。
8. デット・エクイティ比率(DER)規制
インドネシアでは、利息費用の損金算入に関してデット・エクイティ比率(DER)4:1の制限が設けられている。この比率を超える借入構造を持つ企業では、利息費用の一部が損金不算入となる可能性がある。特に株主からの貸付、債務超過、または過度な借入依存の財務構造を持つ企業は、この規制に注意する必要がある。
9. 源泉徴収税クレジットの確認
企業は、PPh22およびPPh23として取引先から源泉徴収された税額を、法人税申告において税額控除として利用することができる。 ただしCoretax制度では、これらの税額はe-Bupotシステムに正式に登録された証明書に基づく場合にのみ認識される。証明書が納税者の事前入力データ(Prepopulated Data)に表示されない場合、税額控除として認められない可能性があるため注意が必要である
10. 接待費・販促費の支出先リスト管理
マーケティング活動、接待費、取引先との会食などに係る費用は、支出先名簿(Daftar Nominatif)を作成することにより税務上の費用として認められる。 この名簿には、受領者の氏名、NPWPまたはNIK、および支出の目的を明記する必要がある。受領者の税務識別番号が記載されていない場合、税務当局により当該費用は損金不算入と判断される可能性がある。
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【PDF】FCIDニュースレターNo.43_インドネシアにおける2026年法人税申告シーズン~Coretax時代における10の重要ポイント~