Newsletter of FCG Group.
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Monday October 6th, 2025Greater China
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受益所有者情報管理弁法について
受益所有者情報管理弁法(中国人民銀行 国家市場監督管理総局令〔2024〕第3号)は、中国人民銀行と国家市場監督管理総局が共同で公布した法令で、2024年11月1日から施行されました。本弁法は、企業が受益所有者情報を関連する登記システムを通じて届出することを義務付けており、マネーロンダリング防止法(中華人民共和国反洗銭法)、企業登録管理に関する法律及び行政法規に従って策定されています。企業は、本弁法に従って受益所有者情報を把握し、適切に届出を行う必要があります。本弁法の要点となる条文(日本語参考訳)は下記の通りです。
第3条
登録資本金(出資額)は1,000万元(または等価の外貨)を超えず、株主・パートナーが全て自然人の届出主体であり、株主・パートナー以外の自然人が実際に支配し、または、収益を得たりせず、かつ、持分・パートナーの権益以外の方法で支配し、または、収益を得たりすることもない場合、受益所有者情報の届出を免除することを承諾する。
第6条
下記に挙げる条件の1つに該当する自然人は届出主体の受益所有者である。
(1)直接または間接的に最終的に届出主体の25%以上の株式もしくは持分またはパートナーの権益を所有している。
(2)第1号の基準を満たしていないが、最終的に届出主体の25%以上の収益権・議決権を享有している。
(3)第1号の基準を満たしていないが、単独または共同で届出主体を実質的に支配している。
前項の第3号でいう実質的な支配には、協議の約定または密接な関係にある者等による実質的な支配の実施を含むが、これらに限定されず、法定代表者・取締役・監査役・高級管理職者または業務執行パートナーの選任または解任の決定、重大な経営管理上の決定の制定または実行の決定、財務収支の決定、重要な資産または主要な資金の長期に渡る実質的な支配と使用等が挙げられる。
第1項が規定する3つの状況が存在しない場合、届出主体のうち日常経営管理を担当する人員を受益所有者とみなして届出をしなければならない。
第10条
届出主体の受益所有者の情報に変化が生じた、または、本弁法の第3条に規定された承諾免除条件に合致しなくなった場合、変化が生じた、または、免除の承諾条件に合致しなくなった日から30日以内に、関連登録システムを通じて受益所有者情報の届出をしなければならない。
第14条
届出主体が規定に従って受益所有者情報の届出をしていない場合、企業登録管理に関する行政法規に従って処理する。
中国人民銀行及びその支店は届出主体が届出した受益所有者の情報が不正確であることを発見した場合、届出主体に期限付きの是正を命じなければならない。是正を拒否した場合、5万元以下の過料を科す。
第16条
本弁法の実施前に登録されている届出主体は、2025年11月1日までに、本弁法の規定に従って受益所有者情報の届出をしなければならない。
第16条に定められている届出の期限が差し迫る中、中国人民銀行からの指示を受け、各金融機関が口座開設者にショートメッセージで前もって届出対応するよう連絡しているケース、また、マネーロンダリング防止の名目で現地法人の出資者について「最終受益者」までの情報提出(自然人身分証や法人確定申告書「同族会社等の判定に関する明細書」ページ等)を金融機関より毎年求められるケース等を確認しております。以下は中国建設銀行上海支店より2025年8月1日に発表された上海市及び周辺主要地域の登記システムリンク、ホットライン電話番号及びQR コードです(中国人民銀行上海総部リンク、受益所有者情報届出に関連する政策解釈、記入ガイドライン、よくある質問を確認できます)。
香港
最新施政報告の発表
1.最新施政報告の発表
香港政府トップの李家超(ジョン・リー)行政長官は2025年9月17日、就任後4回目となる施政報告(施政方針演説に相当)を立法会(議会)で行いました。今回の報告は、昨年の3回目の報告と同様に、経済対策と市民生活の改善に力点を置いた内容となりました。
経済対策としては、一定の事業者に対して水道料金と下水料金の割引を提供する政策のほか、製薬会社などの香港への誘致強化に係る政策、香港域内での知的財産の保護の強化に係る政策などが打ち出されました。
また、市民生活の改善のため、個人所得税申告における所得控除のうち、年間13万香港ドルの控除を認める子供控除について、その控除額を特定の期間で増額する政策も打ち出されました。2026/27年度から、納税者は出産後最初の2年間において、1人の子供につき2倍の控除(現在の控除額130,000香港ドルに基づき260,000香港ドル)を申請できるようになります。この措置は、課税年度末時点で2歳未満のすべての子供(すなわち、2025年4月1日以降に生まれた子供)が対象となります。
2.世界人材ランキングの公表
スイスのビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)は2025年9月9日に2025年度版の世界人材ランキングを公表し、香港が全体の4位にランクインしました。当該ランキングは世界69か国を対象に、人材に対する投資の手厚さや人材を惹きつける魅力度などを評価して、その順位を公表しています。
香港は2023年度では当該ランキングにおいて16位、2024年度では9位にランクインしており、2025年度の結果は香港にとって過去最高の順位となりました。また、2025年度のランキングにおける香港の世界4位はアジア各国の中での最高順位となり、シンガポールの世界7位や台湾の17位、中国の38位などを上回りました。
なお、2025年度のランキングでの世界全体の1位はスイス、2位がルクセンブルグ、3位がアイスランドとなっています。また、日本については40位にランクインしており、2023年度と2024年度の43位から順位を3つ上げています。
台湾(台北・台中)
【台湾ドルの動き】
2025年9月の台湾ドル(TWD)は、前月末に対米ドル1ドル=30.7元台まで下落していたものの、その後台湾ドル高(米ドル安)が進み、9月17日には1ドル=30.0元台と約1カ月ぶりの低水準をつけました。しかし月後半になると米国金利動向や国際リスクの変化で米ドル需要が再び強まり、台湾ドルは下落(米ドル高)に転じ、最終取引日の9月30日時点では対米ドル1ドル=30.4元台となり、月初と比べてやや台湾ドル高(米ドル安)で終了しました。
【経済成長率見通しを上方修正】
台湾中央銀行は9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の2.00%に据え置くと発表しました。同時に、2025年の経済成長率見通しを従来の3.05%から4.55%に大幅上方修正し、インフレ率予想は1.88%から1.76%に引き下げました。一方、米国の追加関税や地政学リスクについては引き続き注視する必要があります。
【8月輸出、過去最高を記録】
台湾財政部は9月9日、2025年8月の輸出額が前年同月比34.1%増の584.9億米ドルと過去最高を更新したと発表しました。AI関連の半導体・電子機器需要が好調で、特に米国向け輸出は前年同月比65.2%増、中国向けも15.9%増と大幅増加しました。台湾財政部はAI技術の応用加速が輸出の追い風になると指摘し、9月も30~36%増を予想しています。
【最低賃金引き上げについて】
労働部の最低工資審議委員會が9月26日に開催され、2026年1月1日から月額最低賃金を現行の28,590元から29,500元(約3.18%増)に引き上げる案を決定しました。時給最低賃金についても同率で調整され190元から196元に引き上げられます。これにより月給・時給とも過去10年連続で上昇することになり、労務コストや従業員の待遇改善の動きが加速する見込みです。
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