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【インドの会計・財務の豆知識】第93回 インドにおける労働争議 (労働組合対応①)

2019年11月06日インド

インドにおける労働組合対応の留意点について解説します。

まずそもそも労働組合が自社に無いのであれば、労働組合やストライキにまつわるリスクも発生しません。そのため「法的に労働組合の組成を防止する手段はないか」といった質問を受けることがあります。では使用者が従業員の労働組合組成や、これに対する加入を禁止していいのでしょうか。この点は前稿で解説した通り、インドにおいても労働組合を組成する権利は憲法上の権利として保障されており、この権利を侵害することは許されず、具体的にはIndustrial Dispute Act, 1947( 産業紛争法)上、以下の使用者の行為が不当労働行為にあたるものとされています。

• 労働組合に加入する場合、懲戒解雇すると脅す行為
• 労働組合を組成した場合、ロックアウトすると脅す行為
• 労働組合に加入する労働者を差別する行為
• 使用者が支持する労働組合を設立する行為

このように労働組合を組成する権利は憲法上の権利として保障されているのはもちろんのこと、これを阻害する行為は産業紛争法上の不当労働行為に該当する違法行為として取り扱われます。労働組合は従業員が会社に不満がある場合に組成されることが多く、日々従業員の不満を吸い上げてこれを改善していくことが、労働組合組成を防止する最良の方法となります。

では会社に労働組合があり賃上げしなければストライキを実施すると詰め寄られた場合、どのような対応を取るべきでしょうか。
まず確認が必要なのが、その労働組合がTrade Union Act, 1926( 労働組合法) の登録を受けているかどうかという点になります。インドの労働組合にも、正当な労働行為である場合には民事上・刑事上の免責が認められますが、これはその労働組合が労働組合法の登録を受けている場合に限定されます。裏を返せば、労働組合法上の登録無くして行ったストライキ行為は民事上の損害賠償の対象になりますし、下手をすれば罰金・懲役といった刑事罰の対象になり、現実問題として組合の登録無くしてストライキを行うことは容易ではありません。そのため、ストライキ対応の第一歩としてこの点を確認する必要があります。