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FCG アメリカ ニュースレター 第5回:Employee Retention Credit/従業員雇用維持クレジットの概要

2020年05月22日アメリカ

第5回:Employee Retention Credit/従業員雇用維持クレジットの概要

(雇用主に対する還付可能な税額控除)

 

トランプ政権の新型コロナウィルス対策法 (CARES Act)の一つ、中小企業向け救済ローンPaycheck Protection Program、通称PPPについて第1回及び第4回のニュースレターにてご紹介しました。しかし、企業向け救済措置はこれだけではありません。その他の選択肢として、“Employee Retention Credit”、従業員雇用維持クレジットがあります。

Employee Retention Creditは、PPPと同様、新型コロナウィルスによって経済的な影響を受けた企業の従業員雇用継続を支援することが目的ですが、こちらはローンではなく、従業員一人につき年間最大1万ドルの給与(一定の健康保険料も含む)の50%までの額について、雇用主負担のSocial Security Taxから控除でき、控除しきれない金額は還付されるというものです。

ここで注意すべきことは、PPPEmployee Retention Creditの同時利用は認められていないという点です。もし企業がどちらのプログラムも申請可能な状況である場合、どちらの救済措置を使用するかを慎重に検討する必要があります。もしくは、条件を満たさずPPPの申請ができない雇用主にとっては、企業規模にかかわらず利用できるこちらのEmployee Retention Creditの内容は、把握しておきたいところです。今回は、企業向け税額控除プログラム、Employee Retention Creditの概要についてお伝えします。

 

対象となる企業

2020年に事業活動を実施しており、下記のうちいずれかの条件を満たす企業および非営利団体が対象となります。

・新型コロナウィルスによる政府からの要請で2020年内に事業のすべて、もしくは一部を中止せざるを得なくなった。

・一四半期の総売上が、昨年の同四半期と比べて50%未満となった。
(注)一四半期の総売上が、前年の同四半期の80%を超えた時点で、次の四半期からは対象外となります。

下記の例では、第二四半期で昨年の80%を超える売上を記録したため、その次の第三四半期から、控除を受ける資格がなくなります。

FCUSニュースレター第5回①

なお、州や自治体の政府機関および個人事業主は対象外となります。また、PPPにてローンを受ける企業も対象外となります。

 

控除金額の計算方法

対象期間3/13/202012/31/2020の間に、従業員一人につき、会社が支払った給与と一定の健康保険料の合計最大$10,000が対象となり、その 50%、つまり最大$5,000が控除できます。

控除の対象となる従業員の給与および健康保険料は、2019年度の従業員数によって決まります。

・2019年内に平均100名以下のフルタイム従業員を雇っていた企業は、新型コロナウィルスの影響で一四半期内に就業している、就業していないに関わらず、一四半期内に在籍するすべての従業員の給与および一定の健康保険料が対象となります。

・2019年内に平均100名超のフルタイム従業員を雇っていた企業は、新型コロナウィルスの影響で一四半期内に就業できなかった従業員の給与および一定の健康保険料のみが対象となります。

例えば、従業員Aに対する控除の対象となる給与額と健康保険料の会社負担分が、第二四半期に$8,000、第三四半期にも$8,000だったとします。その場合、第二四半期は$8,000のすべてが対象となり、第三四半期では上限の$10,000に達するまでの$2,000が対象となります。その結果、第二四半期では$8,00050%となる$4,000の控除、第三四半期では$2,00050%である$1,000の控除が受けられることになります。

 

控除額の受け取り方

対象となる雇用主は、控除可能となる金額を、雇用主負担のSocial Security Taxから控除できます。雇用主は第二四半期以降の連邦給与税申告書において、対象となったすべての給与額、健康保険料及びEmployee Retention Creditを申告します。控除しきれないEmployee Retention Creditがある場合、還付を受けることができます。

また、毎月、連邦給与税を納付する雇用主は、この控除可能額を見越して、毎月の納税額を減額(給与の源泉徴収税額等も減額可)して納付することで、Employee Retention Creditの恩恵をより早く受けることもできます。

さらに、毎月の連邦給与税から控除しきれないEmployee Retention Creditがある場合は、四半期ごとの連邦給与税申告を待たずに、Form 7200を提出することで、迅速な還付を受けることができます。

 

注意点

上述のとおり、PPPEmployee Retention Creditの同時利用はできません。しかしながら、PPPを申請してローンを受け取ったが、5/20/2020までに返金をした企業については、その他の条件を満たしている限りEmployee Retention Creditを受け取る対象とみなされます。その他注意するべき点は、以下の税額控除との併用ができないということがあります。

・“Families First Coronavirus Response Act (FFCRA)”のpaid sick and family leave税額控除の対象となる給与は、Employee Retention Creditの対象となる給与には含まれません。

・内国歳入法第45条のpaid family and medical leave税額控除の対象となる給与は、Employee Retention Creditの対象となる給与には含まれません。

・内国歳入法第51条のWork Opportunity Tax Creditの対象となる従業員は、Employee Retention Creditの対象となりません。

様々な種類、異なる条件の既存の税制優遇制度及び新型コロナウィルス救済措置が存在するなか、どれを使用するのがベストかはケースバイケースであるといえ、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に判断することが重要です。

 

By 上野 裕美

Fair Consulting USA Inc.

Los Angeles Office

 

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◇涌井 正晴

Email: ma.wakui@faircongrp.com


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