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2025年10月17日インドネシア
2025年版リスクベース事業許認可(PBBR)— 投資家向けブリーフ(規則整合・平易版)
【はじめに】
2025年10月2日に新たに制定された投資省規則第5号/2025年(PerMen 5/2025)に基づき、インドネシアにおける外国投資会社(PT PMA)の最低資本金要件に関する重要な更新がありました。
規則第26条第10項によれば、PMAの最低払込資本および株式引受資本は、特別な法律および規則によって別途定められていない限り、1社当たりIDR 2,500,000,000(25億ルピア)に設定されています。
これは従来の資本金要件からの変更を示すものであり、今後は、他の現行規則で異なる規定がある場合を除き、最低限の資本金は25億ルピアとなります。
今回は、新規則に基づくPT PMAの要件とルールについて解説します。
外資企業の最低資本金の要件
投資省規則第5号/2025年(PerMen 5/2025)に基づき、PT PMA(外資企業)は以下の2つの要件を満たす必要がある。
・会社レベル:払込資本金25億ルピア「約0.25 億円」以上
PT PMAは、会社単位では払込資本金25億ルピア以上(会社単位・一回限り)を備える必要がある。資本は原則として払込後12か月間は法人口座から移動できず、PB申請時に自己宣誓(pernyataan mandiri)によってその保持を誓約する。違反した場合は行政制裁の対象となる。
・プロジェクトレベル:土地・建物を除く総投資額100億ルピア「約1億円」超
プロジェクト単位では、土地・建物を除く総投資額が100億ルピアを超えることが原則となる。この判定は、KBLI(通常5桁)コード×プロジェクト所在地(lokasi proyek)ごとに行われる。
この新規則より、従前の「土地・建物を除く100億ルピア以上」の設立要件が見直され、外資企業によるインドネシアへの直接投資手続きがより明確かつ簡素化された。これにより、投資環境の柔軟性と予見可能性の向上が期待されている。
プロジェクト判定の基本ルール
□原則(デフォルト)
KBLI5桁 × プロジェクト所在地ごとに、土地・建物を除く100億ルピア超の投資が必要
□例外(特則:計上単位の変更)
以下の事業分野では判定単位が変更される。(いずれも土地・建物は除外)
⇒ 卸売業:KBLI4桁 × lokasi proyek
⇒ 飲食サービス業:KBLI2桁 × 1つの「titik lokasi」(titik lokasi=各県/市(kabupaten/kota))
⇒ 建設サービス業:KBLI4桁 × lokasi proyek
⇒ 単一生産ラインで複数製品を製造する製造業:生産ライン単位で100億ルピア1枠
□土地・建物の計上可否
原則として除外されるが、不動産、宿泊、農業、プランテーション、畜産、水産養殖などについて、既定の類型に限り計上が認められる。
□投資構成の実務例
100億ルピアの投資計画は、以下のような適格コンポーネントで構成される:
・機械・設備
・その他の資本財
・運転資金(modal kerja)
実務適用ポイント
●会社資本(PMA):払込資本金25億ルピア以上(会社単位・一回限り)。PB申請時に12か月保持の自己宣誓が必要。
●プロジェクト最低投資額:各プロジェクト所在地(lokasi proyek)ごとに、必要な100億ルピア枠数を判定。
・原則:KBLI5桁 × lokasi proyek
・卸売/建設:KBLI4桁 × lokasi proyek
・飲食:KBLI2桁 × kabupaten/kota(= 1 titik lokasi)
・単一生産ライン:ライン単位で100億ルピア1枠(製品が複数KBLIにまたがる場合でも同一ラインであれば1枠)
●資金調達の構成:規則では金額の閾値は定められているが、資金源の内訳(資本/負債)は指定されていない。実務上は自己資本と借入の組合せも可能だが、適格コンポーネントによる充足と合法資金であることが前提となる。
スコープの具体例(KBLIコードは記載省略)
・同一KBLI4桁の卸売活動がひとつの所在地(lokasi proyek)内に複数ある→ 100億ルピア1枠(卸売の特則)
・同一のkabupaten/kota内で同一KBLI2桁の飲食活動が複数ある → 100億ルピア1枠(飲食の特則)
・単一の生産ラインで複数製品(複数KBLI5桁)を製造する → 当該ラインで100億ルピア1枠
・特則対象外の異なる活動が1つの所在地(lokasi proyek)に3つある → 原則により100億ルピア×3枠(=合計300億ルピア)
要件の区別が重要:会社レベルの25億ルピアは一回限り、プロジェクトレベルの100億ルピアは上記ルールに従い所在地ごとに判定される。両要件の充足が必要である。
申請・運用チェックリスト(監査対応)
1.定款・資本:払込資本金25億ルピア以上、銀行証憑の保管、PB申請時の自己宣誓(12か月保持)
2.プロジェクト定義:所在地(lokasi proyek)ごとに活動を整理し、原則/特則を適用して必要な100億ルピア枠を確定
3.OSS投資計画:機械・設備/その他資本財/運転資金(modal kerja)等の適格コンポーネントに配分。土地・建物は明示許容の場合のみ計上。見積・契約・請求書類の整備
4.OSS手続き:NIBおよび該当する事業許可(PB等)を取得(NIB発給での事前資金監査は不要。資本保持はPB申請時の自己宣誓と制裁で担保)
5.監督・報告:記録の整備、LKPMの期限内提出
境界スコープに関する注意事項
・EV充電(SPKLU):最低投資額の詳細は本規則の対象外であり、ESDM規則に準拠。
・KEK(特別経済区)内プロジェクト:最低投資額は関連する大統領規則(事業分野表)に従う場合があり、100億ルピアの原則とは異なる可能性あり。
まとめ
・会社レベル:PMA資本25億ルピア以上。PB申請時の自己宣誓により12か月保持、違反時は行政制裁。
・プロジェクトレベル:(土地・建物除外)100億ルピア超をKBLI5桁 × lokasi proyekで判定。
以下の例外あり;
○ 卸売:4桁 × lokasi proyek
○ 建設:4桁 × lokasi proyek
○ 飲食:2桁 × kabupaten/kota(= 1 titik lokasi)
○ 単一生産ライン:当該ラインにつき100億1枠
・土地・建物の計上:既定の類型(不動産、宿泊、農業、プランテーション、畜産、水産養殖)に限定される。
・NIB発給:事前資金監査の規定はなく、PB段階の自己宣誓と行政制裁により資本保持を担保。
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