FCGグループのニュースレターをお届けします。
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2025年06月03日中華圏
北京・蘇州・上海・成都・広州・深圳
「民間経済促進法」について
2025年5月20日より施行となった「中華人民共和国民間経済促進法(以下「同法」とする。同年4月30日公布)」は第1章から第9章、全78条項で構成されています。
第1章総則では、国家の指導、支援のもと、平等な待遇、公正競争、平等な保護、共同発展の原則を堅持し、民間経済の発展と成長を促進するとしています。
第2章公正競争では、市場参入ネガティブリストの実施(同年4月16日公布即日施行)について言及したうえで、すべての経済組織が平等に市場参入し、公正競争審査と定期的な評価を受けるものとし、国家の政策を合法的かつ平等に適用することを保証しています。
第3章投資・融資促進では、主要な国家戦略およびプロジェクト、官民パートナーシッププロジェクトへの「民間経済組織(第9章附則より、中華人民共和国の領土内に合法的に設立され、中国公民が管理する営利法人、法人化されていない組織、個々の工商業者、ならびに前述の組織統制または実際支配されている営利法人または法人化されていない組織をいう。以下「組織」とする。)」の参加を支援するとし、投資を奨励するための主要なプロジェクトに関する情報を公開し、民間経済の主要分野への投資を指導するとしています。また、銀行金融機関と金融保証機関が秩序ある方法でビジネス拡大を支援し、共同で組織に与信供与、与信管理、リスク管理、サービス料等において平等にサービスを提供するとしています。
第4章科学イノベーションでは、国家は、組織が科学技術革新を促進し、新たな生産力を育成し、近代的な産業システムを構築するために積極的な役割を果たすことを奨励し、支援するとしています。また、組織の知的財産権の保護を強化し、知的財産権侵害に対する懲罰的損害賠償制度を実施し、商標、特許権、著作権の独占使用権の侵害、企業秘密の侵害、偽造、混同などの違法行為を法律に従って調査および対処するとしています。
第5章運用の標準化では、組織は、国民労働の全体的な状況に焦点を当て、経済発展、雇用拡大、人民生活の改善、科学技術革新などの分野で積極的な役割を果たし、人々のより良い生活に対して増大するニーズを満たすことに貢献しなければならないとし、組織内における工会、共産党員の政治的指導のもと、労働者の正当な権利と利益と公共の利益を害してはならないとしています。また、国家は、組織の腐敗防止とガバナンスのための制度とメカニズムの確立を推進し、組織が内部監査システムを確立し、完成させるよう支援・指導し、公正リスクの予防と管理を強化し、組織が適法にコンプライアンスを遵守し、組織運営と管理のレベルを向上させることを奨励し、組織運営における法令違反などの問題を迅速に予防、発見、対処するとしています。
第6章では国家機関及びその職員の組織に対するサービスの保障、第7章では組織の権益保護、第8章法的責任、第9章附則と続きます。
同法公布後の動向として、中国人民銀行より5月7日には政策金利と預金準備率の引き下げ、5月20日には最優遇貸出金利の指標であるローンプライムレートの引き下げ(期間5年以上を3.60%から3.50%に、期間1年を3.10%から3.00%)が発表されました。
また、国家発展改革委員会からは同法に関する説明の際、今年度の交通運輸やエネルギー、水利、新型インフラ、都市インフラといった重点分野において、総投資額約3兆元(約60兆円相当)のプロジェクトを打ち出す計画だとしています。
今年度の全国人民代表大会においても経済成長率目標を5%前後と据え置きされていること、また、来年2026年度から開始される「第15次5カ年計画」の起草が今年開始されることから、中国市場への進出を検討している企業だけでなく、既に進出している各企業においても中国中央政府、企業所在地の地方政府による政策動向を注視する必要があります。
香港
グローバル・ミニマム課税に関する改正条例が可決
1.グローバル・ミニマム課税に関する改正条例が可決
香港立法会(議会)は2025年5月28 日、多国籍企業を対象としたグローバル・ミニマム課税(global minimum tax:GMT)及び香港ミニマムトップアップ課税(Hong Kong minimum top-up tax:HKMTT)を2025年1月1日付で導入することを盛り込んだ改正条例を可決しました。
これは、経済協力開発機構(OECD)主導の国際課税改革の一環で、年間総収入が7億5,000万ユーロ(約1,230億円)以上の多国籍企業に対して、一定条件を除く所得に15%以上を課税する仕組みです。グローバル・ミニマム課税及びミニマムトップアップ課税の導入により、香港政府は実効税率が15%を下回る多国籍企業から上乗せ税を徴収し、実効税率を15%に引き上げられるようになります。政府金融サービス・財務局の許正宇(クリストファー・ホイ)局長は、グローバル・ミニマム課税が導入されることで、各国・地域は法人税率を下げるだけでは資本や投資を呼び込めなくなるため、香港の強みが一層際立つと述べています。
2.雇用主のMPF滞納、罰則強化を検討
香港の強制退職年金基金「強制性公積金計画(MPF)」制度を監督する強制退職年金基金管理局(MPFA)は、近年雇用主がMPF積立金を滞納するケースが増えていることを受け、罰則の強化を検討しています。MPFAの鄭恩賜マネジングディレクターが2025年5月18日のテレビ番組で明らかにしました。鄭氏によると、MPF積立金が未払いになっている雇用主に対して発行する通知の件数は、2022年の34万件から24年には39万件まで、年平均7~8%のペースで増加している計算で、今年も同程度かそれ以上の増加が見込まれるということです。
現在、雇用主に対する延滞金は滞納期間に関係なく一律5%となっていますが、MPFAは滞納期間が長期化した場合に10%の延滞金を課すなど段階的な罰則制度の導入を目指し、政府と条例改正について協議中です。
鄭氏はこのほか、倒産企業の未払い金を立て替え払いする公的制度「破産賃金保障基金」の対象をMPF積立金に拡大する案が出ていることを歓迎しています。回収不能な積立金は年間1,000万香港ドルほどで、財政の大きな負担にはならないとの見方を示しました。
3.土地登記手数料、3段階に分けて引き上げ
香港政府は2025年5月16日、土地登記に関するサービス手数料を、2025/26から27/28年度(2025年4月~2028年3月)にかけて、3段階に分けて引き上げると発表しました。各段階の値上げ幅は15~35%となります。
手数料改定の対象となるサービスは、①譲渡や抵当を含む法律文書の登記、②売買契約の登記、③賃貸借、賃貸借契約、賃貸借契約の更新や解除の登記、④その他の法律文書の登記、⑤不動産の持分や権益に対する担保や抵当権を譲渡または移転する法律文書の登記、の5種類です。
政府は、この5種類の手数料は約30年間引き上げられておらず、受益者負担の原則に基づき見直しを行ったと説明し、改定後の手数料はサービス提供のコストを回収できる水準に設定したとしています。
手数料の改定は、2025年7月16日、2026年7月1日、2027年7月1日の3段階に分けて実施されます。
台湾(台北・台中)
【法人税、個人所得税の申告期限は6月末まで】
毎年5月1日から5月31日の間に法人税と個人所得税の申告・納税が行われますが、今年はいわゆる”トランプ関税”による経済への影響を考慮し、申告期限が6月30日に延期されています。現時点で、まだ個人所得税の申告を行っていない場合、6月中の申告が必要です。
【日本の選挙の在外投票所を台湾に設置】
日本政府は、台湾に滞在する日本人向けに日本の選挙に投票するための投票所を2か所設置する方向で検討を進めています。設置されるのは、日本台湾交流協会の台北事務所と高雄事務所の2か所になる見込みです。開設は夏の参議院議員選挙から設置される見込みです。これにより、在台法人の選挙参加が容易になります。
【境外電子商取引業者の税籍登記基準の引き上げ】
境外電子商取引業者が、台湾で税籍登記をしなければいけない基準について、従来は年間売上額が48万台湾ドルを超える場合とされていましたが、2025年4月7日付台財税字第11404515420号通達により、60万台湾ドルに引き上げられます。これは、2025年1月1日から小規模事業者に対する営業税(VAT)の課税基準額を月間売上額4万台湾ドルから5万台湾ドルに引き上げられたことに伴い、変更された措置です。これにより、台湾域外から電子商取引で台湾域内に物・サービスを販売する際の統一発票発行義務の基準が緩和されます。
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【PDF】【FCG中華圏ニュースレター】No.202_北京・蘇州・上海・成都・広州・深圳版