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2025年05月08日インドネシア
インドネシア国家規格(SNI)、消費者保護と国際競争力を支えるインフラ
インドネシア国家規格(SNI)は、インドネシア全土において唯一適用される全国的な標準である。国家標準化庁(BSN)により策定・施行され、国内で流通するすべての製品およびサービスが、品質・安全性・保安・環境の持続可能性に関する要件を満たすことを目的としている。
歴史的背景および法的根拠
インドネシアにおける標準化の歴史は、1928年のオランダ植民地時代に遡る。制度上の大きな転機は、1997年3月27日、大統領令第13号に基づき国家標準化庁(BSN)が設立されたことである。その後、2018年政令第34号「国家標準化に関する政令」によって法制度が強化され、現在に至るまでSNI制度の中核的な法的根拠として機能している。
SNIの目的および機能
SNIは、国家経済と産業活動に対して以下の5つの主要な機能を担う:
・消費者保護:製品・サービスの安全性、健康性、環境への適合性を確保する。
・競争力強化:国内製品の品質を国際水準に引き上げる。
・経済効率:標準化により製造および流通コストを削減する。
・規制適合:製品の法令および安全基準との整合性を担保する。
・貿易促進:国際標準に準拠し、インドネシア製品の国際市場アクセスを支援する。
SNIは単なる認証制度ではなく、産業政策の戦略的支柱であり、投資家からの信認を獲得するための基盤である。
SNIの適用:強制と任意の二形態
SNIの運用は、「強制適用」と「任意適用」の二つに分類される:
・強制SNI:人の生命・健康・環境に直接影響を与える製品に適用される。対象製品は各省庁によって法令を通じて定められ、例として自動車用タイヤ、オートバイ用ヘルメット、ボトル飲料水、特定の食品などが挙げられる
・任意SNI:企業の自主的判断により採用され、市場での信頼性向上や競争力強化に資する。法的義務はないが、製品への信頼性を高める有効な手段となる。
強制SNIの対象製品例
インドネシア工業省は、強制SNIの対象となる製品の一覧を公開している。代表的な例は以下の通りである:
・セメント(SNI 15-2049-2004、HSコード:2523.29.00):建築物の構造安全性を保証する。
・オートバイ用ヘルメット(SNI 1811-2007):交通事故時の致命傷リスクを軽減する。
・子供用玩具(SNI ISO 8124-1:2010):幼児製品としての安全基準を満たす。
・鉄筋(SNI 2052:2017):建築資材としての品質と強度を確保する。
これらの製品は国際貿易の分類に用いられるHSコード(ハーモナイズド・システム)と連動している。
認証および適合性評価プロセス
SNI認証の取得には、国家認定委員会(KAN)により認定された製品認証機関(LSPro)による以下の手続きを経る必要がある:
・申請書の提出:企業がLSProに対して認証申請を行う。
・書類審査:技術面および行政面での要件をLSProが確認する。
・監査および試験:製品がSNI基準に適合するかどうかを検証する。
・認証書の発行:すべての基準を満たした場合、「SNIマーク使用証明書(SPPT-SNI)」が発行される。
・監視プロセス:定期的な監視により継続的な適合状況を確認する。
この制度により、基準に適合しない製品がSNIマークを使用して流通することを未然に防いでいる。
強制SNI違反に対する制裁
強制SNIの不履行は、法的拘束力のある以下の制裁対象となる:
・書面による警告
・生産・流通の一時停止
・市場からの製品回収
・事業許可または製品認証の取消し
これらの措置は、流通製品の品質水準を保証し、消費者および市場の安全を守るものである。
総括
インドネシア国家規格(SNI)は、単なる認証制度ではなく、品質保証・市場参入・国際的信認を支える国家インフラである。SNIを通じて、インドネシアは消費者を守り、環境基準を強化し、遵守企業にとっての競争優位を生み出している。強制・任意を問わず、SNIへの対応はもはや選択肢ではなく、規制された国際市場へ参入するための「入場料」である。
未来を見据える企業にとって、SNIは規制負担ではなく、グローバル競争で勝ち残るための戦略的な梃子である。
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