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FCCニュースレター Vol.37(2012年10月)

2012年10月01日日本

見直される台湾経由対中投資

 

最近の日中関係の冷え込みや中国景気の減速を背景に、中国に進出している企業の間でも、中国か ら撤退することを真剣に検討し始めたところもあるようです。破壊された日系スーパーが営業を再開する など事態に持ち直しの兆しが見られる一方で、大手自動車メーカーが一斉に中国リスクを理由に業績見 通しを下方修正するなど、先行きは不透明なままです。特に、これから中国進出を検討していたような会 社にとっては、計画の見直しを迫られる局面かもしれません。しかし、リスクばかりを恐れていてもビジネ スを成功させることはできませんので、この状況を逆手にとって、上手く中国市場に入り込むことを考えて みても良いかもしれません。 その一つのヒントが、「台湾経由の対中投資」スキームです。シャープとの提携話で日本でも一躍有名 になった鴻海(ホンハイ)精密工業は、言わずと知れた台湾の企業です。その売上高は、なんと10兆円に 届くそうです。アップル社のiPhoneやiPadの生産を一手に引き受けたことで急成長を成し遂げました。こ のように、台湾にはIT業界を中心に多くの有力企業が名前を連ねています。そこで、日本企業が台湾企 業と組んで中国に投資を行う場合の具体的なメリットについて考えてみたいと思います。 1.中国販売網、ネットワークの活用 中国側から見た場合、外国直接投資の受入れ額の1位は香港、2位が台湾となっています。ただし、香 港経由で台湾資本が入っているケースも相当数あると言われていますので、実際は統計数値より多くの 台湾企業が中国に入り込んでビジネスを展開してるようです。例えば、世界一のインスタントラーメン消費 大国中国(日本が年間55億食なのに対して中国の年間消費量は、400億食超です)で、シェア50%超を 誇る康師傅(カンシーフー)は台湾系企業です。このように中国で大きなプレゼンスを有している台湾企 業はパートナーとして魅力的であると言えます。また、単純に既存の販売網を活用するだけでなく、彼ら が培ってきた中国マーケット攻略のノウハウを吸収することもできますので、自社で独自開拓する場合に 比べると格段のスピードアップが期待できます。 2.中国のテストマーケット 中国市場をターゲットにした製品を台湾でプレ・マーケティングするケースがあります。大規模な設備投 資を行って中国に本格的に乗り込む前に、趣味や嗜好が近い台湾マーケットで感触を確かめてから、確 実に本土に上陸するというものです。特に、コンシューマー向けの消費財や食品関連のビジネスには有 効な方法かもしれません。 3.人材の活用 台湾の人材は、中華圏同士ということもあり言語は勿論のこと、文化や価値観などの面で中国との差 異が少ない一方で、歴史的背景から日本的な企業運営スタイルやコミュニケーション方法にも親和性が あるケースが多いと言われています。従いまして、日本人従業員が、中国の役人や取引先とトラブルにな るケースでも、台湾従業員なら上手くマネージ出来てしまうこともあります。特に、人事労務問題や政府関 係者との交渉事などは、台湾スタッフの能力が十二分に発揮される場面ではないでしょうか。 4.ECFAの利用 ECFAとは、Economic Cooperation Framework Agreementの略で、2010年9月に発効した中台間の両岸 経済協力枠組協定を言います。ECFAの中では、お互いの輸出入に関して関税の引き下げが順次行わ れていくほか、中国側で他国には解放していない産業の一部を台湾企業に認めるといった取扱いまであ ります。台湾企業と組むことでECFAという中国へのファストパスを手にすることが出来るかもしれません。